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最低敷地面積というしばりに注意

2023.08.21

こんにちは。宅地建物取引士の田中です。

今回は、市町村が条例で定めていることがある『最低敷地面積』についてのお話です。

最低敷地面積というしばり

相続した不動産。兄弟姉妹でどのように活用したいのか?意見が分かれることもあります。お兄さんは、せっかくだから、アパート建てて大家業をやりたいと思っている。一方で、弟さんは、とっとと売って現金化したい。いま子供にお金かかるし、まとまったお金が欲しい。。。

そんな風に意見が分かれることもあります。『じゃあ土地を2つに割って、兄弟がそれぞれを所有。あとは好きにすればいい』ということで相続した土地を2つに分筆することにしました。

その分筆 大丈夫でしょうか?

建築物を建てる際、最低敷地面積というのを設定しているエリアは多くあります。今回相続のお土地に『最低敷地面積』のしばりが無いか?事前に確かめておきましょう。分筆する作業は、土地家屋調査士が法務局へ申請するという作業です。市町村のルールとは別物ですから、作業の途中で、市町村が、最低敷地面積を下回りますが大丈夫ですか?など気を利かせて教えてくれることはありません。

これは、箕面市の最低敷地面積です。たとえば、第一種低層住居専用地域は最低敷地が150㎡、第一種中高層住居専用地域は100㎡です。分筆して一つの敷地がこの㎡数を下回ってしまったら、家が建てられません。家が建てられないということは、土地の価値が大きく下がってしまいます。

業者に売る場合にもカギになる最低敷地面積

相続人が相続した大きな土地を業者に買い取ってもらう場合もこの最低敷地面積が大きく影響します。業者さんは土地を購入し、そのあと、どうしようと考えているのでしょうか?『分譲マンションを建てる。』『賃貸アパートを建てる。』いろんなケースがありますが、『戸建ての建売事業をする。』もしくは『戸建て用地として土地の分譲をする。』という事がとても多いです。そうすると、土地を買い取る業者さんは、最低敷地面積を基準に何区画取れるのか?図面を引いて検討します。たとえば、330㎡(約100坪)の土地。最低敷地面積が100㎡のエリアだから、3区画取れる。ひと区画3000万で売れるから3区画で9000万の売上になる。原価を差し引いて、相続人から購入する金額は6500万で提示できる。そういった計算です。

言い方を変えると、ぎりぎりで2つに割れない、ぎりぎりで3つに割れないといったケースだと、せっかく相続した土地も高く買ってもらえないということになります。

 

現時点ですでに最低敷地面積を下回っているけど大丈夫?

これは、よくいただく質問です。その場合、その土地がいつ分筆されて、今の面積になったのか?がカギになります。箕面市を例にとると、箕面市の条例では下記のとおりです。

つまり、この最低敷地というルールは昭和53年7月1日~スタートしたものだから、それ以前に分筆されて今の状態になったのならば、建築を承認します。という事です。登記簿を見て確認しましょう。

 実例:余計な分筆があとでたいへんな事に

これは実際に合ったケースです。この土地は、元々は昭和43年に分筆された土地で、最低敷地面積を下回る90㎡。それだけであれば、昭和53年から始まった最低敷地面積のルール以前からの土地のため、再建築は可能。しかし、この土地、平成20年になって、お隣さんから、境界について要望が出されました。人の好い所有者さんは、『いいですよ。じゃあ、境界はここにしましょう』と10センチほど、お隣に土地を分筆して、プレゼントしてしまいました。この分筆が大問題。市は、昭和53年以前に分筆した土地であれば、再建築可能ですが、この土地は平成20年に分筆しているから再建築はダメですと言い出したのです。不動産は、家が建てられる土地なのかどうかで、価値は大きく変わります。最低敷地面積について、ちゃんと確認しておきましょう。