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よくあるご相談:相続手続きって何から始めればいいの?

2022.12.21

豊中市、箕面市、大阪市を中心に相続手続きのサポートをしております、行政書士の前川です。

ブログへのご訪問ありがとうございます。

 

相続手続きというものは通常頻繁に経験するものではなく、
何から始めたらよいのかイメージが掴みにくいため、
ご不安に感じる方も多いかと存じます。
また、全体を見通して作業しなければとても
非効率になってしまう、大変なお手続きになります。

今回は、相続手続きをスムーズに進めるためのポイントを、順を追ってご説明いたします。

 

 

(1)まずは市役所と年金事務所へ行きましょう

 

国民年金の場合は亡くなった日から14日以内に、厚生年金の場合は亡くなった日から10日以内に、
年金事務所で年金受給停止の手続きを行う必要があります。
健康保険については、国民健康保険、後期高齢者医療制度に加入していた方は、亡くなった日から14日以内に市区町村に保険証を返納します。

 

 

(2)次に保険金の請求をしましょう
死亡保険金の請求手続き

故人が生命保険に加入していたら、死亡保険金を受け取りましょう。
死亡保険金は、保険会社に亡くなったことを伝えなければなりませんが、
除籍謄本を提出することでそれを証明する形です。(1)の手続きの際に市役所で取得しておくと
よいでしょう。
保険会社にご連絡をする際は、保険証券があればスムーズです。

 

 

(3)引き落とし口座の変更など口座凍結に備えましょう

金融機関に対し亡くなったことが伝わった時点で故人の口座は入出金ができないよう凍結されます。
公共料金等の引落としもできなくなりますので口座変更が必要です。
電気、ガス、水道、インターネット、携帯電話等、各種契約の契約変更や解約手続きは、各契約先に連絡をする必要があります。

 

 

(4)戸籍調査を行い相続人を特定、確定しましょう。相続手続きの「最初の1歩」

預金の払い戻し、不動産の名義変更など、を行うための前提として、
相続権がある者(相続人)が誰なのか、を証明するため戸籍謄本を揃える必要があります。
相続人を確定させるためには、
亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍、除籍謄本、原戸籍謄本(すでに戸籍ではないが過去戸籍として
存在していたもの。戸籍存在する者が不在になる、法律により改正されるなどにより古い戸籍はこれらの名称に変わる)
相続人全員の戸籍謄本(相続人が健在であることを証明するため)
(その他、子供がいない場合など、法定の相続関係を証明するため、調査する範囲は異なる)
が必要です。
戸籍謄本は、死亡したことが記載された戸籍謄本だけでなく、出生からのすべての戸籍謄本が必要なため、
取得に時間がかかることがありますので、早めに取りかかりましょう。
転籍などを繰り返している場合、請求する役所が複雑多数になり、非常に多くの時間や労力がかかる
という相談は多いです。また、古い戸籍は記載が難解で、読み慣れていないと全く判読できないということも
あり、相続人の方の負担は大きなものになります。
しかし、相続人が確定しない限り、次のステップに進むことができません。
調査の結果思わぬ相続権を持った人物が登場する場合もあります。
その場合、遺産分けがスムーズに進む可能性は一般に低くなります。
面識のない者同士で一から話し合いをする必要が出てくるからです。

 

 

(5)遺言書の有無の確認を確認しましょう。
(遺言書がある場合は手続き方法が変わる)

故人が遺言書を遺していた場合、手続き方法が変わってきます。
なお、遺言書にはいくつかの種類があり、自筆により作成されたもの、公正証書になっているもの、法務局に保管されたもの、等があります。

自筆証書遺言
遺言者自身が自筆で作成した遺言。 遺言者が亡くなられたときは、遺言書を家庭裁判所に提出して「検認」と呼ばれる手続きをする必要があります。
なお検認を経ずに開封した場合はペナルティがあります。

公正証書遺言
遺言者が、公証役場で公証人に作成してもらった遺言。 公正証書は、厳正な手続きを経て作成されているため、
上記のような家庭裁判所での検認手続きは必要ありません。

基本的には相続手続きは遺言書の内容に従って進めていくことができます。また、遺言書中に執行者(遺言の内容を実現するために
定められた者。弁護士などの専門家や相続人が予め選任されていることが通常)が定まっていれば、
手続きの多くを執行者に任せることができよりスムーズです。

 

 

(6)相続財産の調査、把握をし遺産分けの対象を確定しましょう。

遺言が無い場合、故人の財産の全容が分からないということも多いでしょう。
この場合様々な手がかりから財産調査を行っていく必要があります。
金融機関の通帳や証券会社からの運用報告書、保険会社から定期連絡、固定資産税納付通知書、権利証
などが手掛かりになりますが、現在ではネット証券などインターネット上にしか記録のない財産などもあり、
その場合財産調査が難航することもあります。
通帳を確認したり、残高証明書を取得する以外に過去5年分の取引履歴を確認し、
相続税の課税対象となる資金移動などがないかも確認します。
財産調査に漏れがあると、後々トラブルに発展する場合があるので慎重に行いましょう。

 

 

(7)負債が多い場合は相続放棄・限定承認・単純承認の選択が必要です。

金融資産や不動産などの遺産より借金などの負債の方が多額になるとき、相続人はプラスの遺産を放棄すると同時に
マイナスの遺産である負債をも相続しないという選択をすることができます。
ただし、原則として相続放棄を行う場合には、相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所で手続きを行う必要があります。
また、負債がどれくらいあるか不明である場合、プラスの財産の限度でマイナスの財産を相続するという選択も可能です。(限定承認)
こちらも相続放棄と同様家庭裁判所にて手続きを行う必要があります。
これらの手続きをする前に遺産を消費してしまうと放棄等ができなくなることがあるため注意が必要です。

 

 

(8)個人が行っていたの所得税の申告・納付を代わりにしましょう。準確定申告

故人が事業所得や不動産所得があった場合、相続開始を知った日から4か月以内に相続人が変わって準確定申告を行わなければなりません。
故人がご生前に毎年確定申告をされていたのであれば、準確定申告を行う必要が高いです。確定申告書の控えなどが出てきたら、
税理士に相談しましょう。

 

 

(9)遺産分割協議の実施(遺言書のない場合)

 

相続財産の調査、把握が終わったら、遺言書のない場合、遺産分割協議(遺産分けの話し合い)
を行い、各遺産を誰が相続するのか決めなくてはなりません。
どのように分けるのか、その方法について原則として制限はありません。
相続人や割合など、自由に定められます。ただし不動産を共有とすることは
一般的に避けた方がよいとされています。権利関係が複雑になり、賃貸、売却、修繕などの
意思決定が難しくなるからです。共有者の一人が亡くなったりするとさらに
名義人が複雑になる恐れもあります。

 

 

(10)分割協議の際の特別代理人、成年後見人の選任

 

未成年者とその親がともに相続人になる場合等には、親の意向を受けた遺産分割と
なる恐れがあるため、未成年者のために特別代理人を選任する必要があります。
また、相続人のうち認知症など意思能力に著しい問題がある者がいる場合、話し合いに参加
することができないと考えられるため、成年後見人を選任する必要があります。
特別代理人、成年後見人いずれも家庭裁判所に対して選任申し立てを行う手続きになります。

 

 

(11)遺産分割協議書の作成しましょう

 

誰がどの遺産を相続するのかを証明するため、
遺産分けの話し合いの結果を、「遺産分割協議書」という書面にします。
全相続人が参加し、話し合いの内容について了承したことを証明する内容のため、
遺産分割協議書には全相続人が署名し、実印による捺印をし、印鑑証明書を添付します。
不動産の相続登記や、相続税の申告の際には、この遺産分割協議書が必要になります。
財産の記入漏れなどの不備がある場合には、再作成が必要になる場合もあります。
また、戸籍調査が正しく行われていない場合全相続人が協議に参加したとは
いえないため、協議自体が法的に成立しないという事もあります。
作成には専門家が関与した方が無難だと言えます。

 

 

(12)預貯金・有価証券などの払い戻しをしましょう

 

法的に有効な遺産分割協議書が完成したら、(遺言がある場合は
遺言に従って)次は、預貯金、有価証券等の解約や名義変更です。
取引のあった銀行や証券会社等の取引について、解約や名義変更の手続きを行っていきます。
各金融機関が独自に作成している相続手続きの依頼書を取り寄せ、手続きを行っていきます。
一般的には、手続書類には相続人全員の署名と押印が必要になりますが、
正しく遺産分割協議書が作成されていれば各預金を受け継ぐ方の署名だけで済むことも多くあります。
故人の取引金融機関の数が多ければ多いほど、解約手続きも手間と時間を要することになります。
金融機関での手続きは平日の日中になることがほとんどで、多忙な相続人には
過度な負担となることも多いです。

 

 

(13)不動産の名義変更をしましょう

 

故人が不動産をお持ちだった場合は、不動産の相続登記が必要です。
この手続きにも遺産分割協議書(もしくは遺言書)が必要になります。
不動産の相続登記は、不動産の所在地を管轄している法務局で行います。
相続人が自分で行うこともできますが、手続きに必要な知識や書類は
複雑なため、国家資格者である司法書士に依頼するとスムーズです。
不動産の所有者であることを証明するものの書類といえば権利証でしたが、
現在では偽造防止のため「登記識別情報」という
いわゆるパスワードに変更されています。

 

 

(14)ゴルフ会員権、自動者等の各種権利の名義変更をしましょう

 

ゴルフ会員権やご自宅の火災保険などの契約、自動車などがあった場合には、それらも相続手続きが必要になります。

 

 

(15)相続税申告書の作成、相続税の申告・納付をしましょう

 

相続財産調査を行った時点で各財産の評価をした結果、その総額が一定額を超えるようであれば、相続税の申告、納付手続きが必要になります。
この手続きは相続開始を知った日の翌日から10か月以内に行わなければなりません。
これまでご説明してきたように、相続関係調査や財産調査、遺産分割協議書の作成などを
行う必要があることを考えると、10か月というのは長いようであっという間ですので、早い段階から準備しておく必要があります。
また、不動産の評価やその評価減に関する特例知識などは税理士でなければ難しいと考えられますが、
相続税の申告自体の経験をする機会が少なく、相続税申告を得意とする税理士が少ないため注意が必要です。

 

 

まとめ

以上が、相続に関する主な手続きの流れです。

いかがでしょうか?
相続手続きは何度も経験をするものではありませんので、本当に詳しい方はあまりいないのが実情です。

また、仕事でお忙しい方、遠方にお住まいの方、ご高齢の方にとって、限られた時間内で役所や金融機関を回ったり、
相続人全員と書類のやりとりをすることは、とても負担になるようです。

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