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相続の豆知識。遺留分~請求可能な相続人は?計算方法は?~

2024.01.08

豊中市、箕面市、大阪市を中心に相続手続きのサポートをしております、司法書士の清原です。

ブログへのご訪問ありがとうございます。

今回は遺留分における請求可能な相続人と、計算方法について詳しく解説します。

遺留分とは

一定の相続人に対して、遺言によっても奪うことのできない遺産の一定割合の留保分のことをいいます。請求可能な相続人は兄弟姉妹(兄弟姉妹の代襲相続人も含む)以外の相続人となります。遺留分権を有する相続人を遺留分権利者といい、配偶者、子、孫、親、祖父母などがこれに当たります。

亡くなった方(被相続人)は、自身の財産の行方を遺言により自由に定めることができますが、被相続人の遺族の生活の保障のために一定の制約があります。これが遺留分の制度です。

遺留分の計算の仕方

遺留分の相続財産(遺産)に対する割合は、誰が相続人になるかによって異なり、遺留分を有する相続人が複数いる場合は、遺留分を法定相続分により分け合うことになります。
遺留分の相続財産に対する割合は、以下のとおりです。

 

(1)配偶者のみが相続人の場合 2分の1
(2)子のみが相続人の場合 2分の1
(3)直系尊属のみが相続人の場合 3分の1
(4)兄弟姉妹のみが相続人の場合 遺留分なし
(5)配偶者と子が相続人の場合 配偶者が4分の1、子が4分の1
(6)配偶者と父母が相続人の場合 配偶者が3分の1、父母が6分の1
(7)配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合 配偶者が2分の1、兄弟姉妹は遺留分なし

同順位の相続人が複数いる場合、例えば、(5)で子が2名の場合、子の遺留分4分の1を2名で分けることになるので、子1名あたりの遺留分は4分の1×2分の1=8分の1ずつとなります。

 

遺留分の算定の基礎となる遺産の計算方法は、残された相続財産に遺贈されたものと1年以内にされた贈与の財産の価額を加えたものが原則となります。

 

遺留分を無視した遺言も無効ではなく、遺留分権利者が遺留分減殺(げんさい)請求がされるまでは有効です。遺留分減殺請求とは遺留分の範囲で被相続人の遺言での処分の効力を失わせる権利行使のことで、例えば(5)で子が2名の場合、二男に全財産を相続させるとの遺言があった場合、配偶者は4分の1、長男は8分の1の遺産を相続する権利を二男に主張できます。

ただし、遺留分を侵害された遺留分権利者は、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することになります。

遺留分に配慮した遺言や生前贈与

遺言や生前贈与を行う際は、遺留分に配慮した上で行わないと、相続発生時に思わぬ争いが起こる可能性があります。したがって遺言や生前贈与を行う際は、専門家に相談されることをお勧め致します。

我々は税理士、弁護士、司法書士、行政書士の各士業が連携し、相続トラブル防止、税務、事業承継、不動産の分割方法等、総合的な視点からアドバイスをしております。

また万が一、遺留分を侵害された相続が発生した際の「遺留分を請求したい」、「遺留分を請求された」といった事後的な相談も承っております。

遺留分算定の例

被相続人(亡くなった父(夫))の遺産が自宅土地建物(評価額5,000万)と預金1,000万円

相続人は妻と3人の子供(長女、長男、二男)の場合

 

この場合、各相続人の遺留分は妻が6,000万円×1/4=1,500万円

長女、長男、二男が各々6,000万円×1/12=500万円

となります。

 

遺言書で全ての財産を、同居して面倒をみてくれている長女に相続させるとしていた場合に、配偶者は1,500万円、長男二男は500万円の遺留分を請求することができます。長女が遺された配偶者を引き続き同居して面倒を見るならば、配偶者が遺留分の主張をすることは考えにくいですが、長男二男は遺留分の主張をしてくる可能性があります。

「ウチの家庭は仲が良いから大丈夫」とお考えの方が多いのですが、その考えが遺留分で揉める原因の大多数を占めます。

 

長男二男に対して、遺留分には満たない金額でもいくらかを長男二男に相続させたり、生前に事情を伝えておく、又は遺言書の付言事項で事情を伝えるといった対策があれば相続トラブルを回避できるかもしれません。


また、遺留分対策として生命保険を活用する方法も有効です。

遺言書の作成と同時に、長女をを受取人として1,000万円の生命保険に加入するという方法です。生命保険金控除も利用でき相続税対策にもなります。

 

1,000万円の受取保険金は長女固有の財産となり相続財産とはならないので、その保険金を遺留分の支払に充当できる為、長女の支払能力を確保する意味でも有効です。保険金で対策する際、間違ってはいけないことは、長男二男を受取人にして保険契約をすることです。

この場合、受取保険金は上記のとおり、長男二男の固有の財産となり、遺留分の500万円を丸々長女へ主張できることとなり、ますますトラブルを助長してしまいます。

 

弊社では、各士業の他、ファイナンシャルプランナー、相続診断アドバイザーも在籍しておりますので、保険金の活用にも的確なサポートが可能です。

1)請求権の行使とその効果

2019年7月1日施行された相続法改正により、これまで「遺留分減殺請求」とされていた請求権が「遺留分侵害額請求」に変更されました。
改正前は、遺贈や贈与によって、自己の遺留分を侵害された遺留分権利者は、侵害された部分を回復させる限度で、減殺請求をして、遺贈や贈与の効力自体を失わせることができました。

どうなるかというと、遺留分の権利者との共有になります。争っている者同士が共有しているのだから、処分するのに支障がでるだろうということは想像に難くありません。

このような事情と、「特定の財産を特定の者に与えたい」という遺言者の意思尊重などの観点から、改正後は「遺留分侵害額請求」という金銭支払い請求権に生まれ変わりました。

 

物を持ち合うのではなく、お金で解決しましょうという方法に変わったと考えると分かりやすいです。

2)遺留分には時効があります。

前提条件によって期間は変わりますが、一定期間を経過すると遺留分は時効になります。
最長、相続の時から10年です。

 

自分の遺留分がまだ請求できるかどうか知りたいという方は、専門家に相談しアドバイスを受けることをおすすめ致します。

お気軽にご相談ください。