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相続登記にかかる司法書士費用は誰が払う?

2023.04.25

豊中市、箕面市、大阪市を中心にの相続手続きのサポートをしております司法書士の清原です。

土地や建物などの不動産を所有者が死亡したとき、不動産名義を相続した方へ変更する登記の申請手続が生じます。現在の法律下では、その手続きは放置していても問題はないのですが、2024年4月1日からは上記の相続登記手続きが義務化され、一定の期間内に名義人の変更登記をしなければならなくなります。

相続登記手続きに必要な戸籍等の収集費、名義変更にかかる登録免許税(印紙代)、司法書士に登記申請を依頼する場合にはその報酬など諸々の費用がかかります。今回のブログでは、上記の費用は誰が負担するべきかをテーマに述べさせていただきます。

 

相続登記の費用について

相続登記にかかる費用は、名義変更にかかる登録免許税や戸籍等関係書類取得にかかる費用などの「実費」と「司法書士に支払う報酬」に大きく分けることができます。

[実費部分の費用]

①登録免許税
土地や建物の登記をするときには登録免許税という税金が課せられます。相続登記の場合には固定資産税評価額に0.4%をかけます。例えば2,000万円の不動産の相続登記をする場合には、2,000万円×0.4%=8万円の登録免許税が課せられます。

②戸籍謄本等の取得費
相続登記をするときには、亡くなった方(以下、被相続人という)の「出生から死亡までの連続した戸籍謄本」が必要になります。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を確認することにより相続人を特定することができます。

その他にも相続人全員の戸籍謄本や被相続人及び不動産を取得する相続人の住民票(除票または戸籍の附票)、遺産分割協議をする場合には相続人全員の印鑑証明書が必要となります。
その他、不動産の評価証明書、名寄帳、登記事項証明書の取得が必要な場合もあります。

③交通費・郵送代など
相続登記には必要書類の収集や申請手続きが必要となりますが、それに伴い交通費や郵送代がかかります。戸籍謄本等は管轄の役所でないと取得することが出来ないため何度も転籍をしている場合には各役所に請求をすることになります。役所が遠方の場合には郵送で申請をすることになります。

 

[司法書士に支払う報酬等]

相続登記手続きを司法書士に依頼する場合には、報酬が発生します。司法書士の報酬は相続人の数、地域、依頼する内容(登記申請の代理、書類の代理取得、書類作成のみ等)など事案によって異なりますが、目安としては5万円~15万円くらい必要となります。

相続登記を自分で行う場合には、この費用はかかりませんが、書類収集や書類作成に手間と時間がかかる、平日に法務局及び役所に何度も足を運ぶ必要があるなどのデメリットがあります。

 

相続登記の費用は誰が負担すべきか

特段、法律上の決まりはありません。登記費用は相続人のうち誰が支払っても問題はありませんが、およそ以下の3パターンの方法によると思います。

①不動産を承継する相続人が負担
②相続財産から費用を捻出
③相続人が平等に負担

一般的には、不動産を承継する人が相続登記の費用を負担するケースが多いかと思います。

しかし、不動産を承継しなかった他の相続人全員と分割して負担したり、一人の相続人が代表して立替えて後日精算するケースもあります。
また、相続財産から相続登記の費用を支払う方法を選択しても問題はありません。その場合、予め預貯金等の相続手続きを終了させて解約しておく必要があります。

いずれにしても後々のトラブルを避けるためにも、相続人全員で登記費用の負担割合についてきちんと話し合い、各自が納得したうえで相続手続きを進めるべきです。

共有で不動産を承継する場合の費用負担の方法

単有で不動産を承継する場合には、その相続人が費用を負担すれば問題ないと思いますが、共有で不動産を承継するケースでは、少し悩んでしまうかもしれません。

結論からいえば、承継する共有持分の割合で費用を負担すれば差し支えないと思います。
ただし、共有者のうちの一人が全額支払ったとしても、特に問題があるわけではありませんので、相続人で話し合って決めればいいと思います。

なお、相続登記に必要な実費についても、共有で承継する相続人で負担方法を決めた方がいいかもしれません。

 

結論

相続登記の費用は、価値のある不動産の場合はその不動産を承継する相続人が負担し、価値の乏しい又は負担になるような不動産の場合は、相続財産から捻出したり、相続人全員が平等に負担する方がトラブルも少なくなります。大事なことは、相続人全員で納得のいく話し合いをすることです。