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遺産分割調停の流れ

2023.06.26

1 遺産分割調停

 

遺産分割調停の申立まで遺産が遺され、親族間の間で、遺産の分け方を話していても、感情の対立や、過去のエピソードまで出され、話がまとまらないことがあります。このような場合、当事者だけでは解決ができないため、家庭裁判所の調停手続きを利用することになります。遺産分割調停は調停委員、裁判官が仲介役になり、遺産分割の主張を整理し、話し合いを進めていきます。調停委員は、どちらか一方に肩入れをするようなことはありませんし、事実の真否を判断することはありません。

 

(1) 管轄

調停を申し立てる裁判所の管轄は、相手方が居住地の管轄の家庭裁判所になります。遠方の家庭裁判所での調停の参加が難しい場合、電話による電話会議システムでの調停の進行も可能です。今後、WEBでの調停も進む予定です。

 

(2) 費用

調停申立にかかる費用ですが、収入印紙代として、1200円の他予納郵券代が必要になります。予納郵券は相手方への調停申立書の送付等に要する切手代になります。人数、家庭裁判所ごとに金額が異なりますので、管轄する家庭裁判所への確認が必要です。

 

(3) 申立から第1回調停期日までの流れ

申立を行うと申立書を確認した裁判所から、必要書類の不備や、申立書の記載に不備があった場合、補正するように連絡があります。その後、申立人と裁判所との間で、第1回目の調停期日の調整が行われます。裁判所の込み具合にもよりますが、申立、第1回調停期日まで、約2か月から4か月程度かかります。相手方が多数いるなど、調停申立書の送達が長引く場合、第1回調停期日が延期される場合もあります。

 

2 第1回調停期日

 

(1) 調停での進みかた

調停では当事者同士が接触して、揉めないように、呼び出しされる時間も相手方と申立人とでは異なる時間が指定されます。また、待合室も、相手方と申立人とでは別室になっています。2名の調停委員がいる調停室に相手方、申立人とが別々に呼び出され、調停委員に遺産分割についての自分の考えや相手方の主張への反論を行い、調停委員を通じて、双方の意見が聞かれます。同じ部屋に相手方、申立人とが入室し、対峙して話をすることはありません。

 

(2) 確認事項

遺産分割調停ではまず、相続人の確認、遺産の範囲の確認がされます。相続放棄の申述をした相続人がいた場合、遺産分割調停の当事者から、排除されます。また、被相続人が相続人に対し生前に財産を贈与した場合等、特別受益として、遺産の範囲に含め遺産分割の対象にするか話合いがされます。また、生前に相続人の一部が被相続人の銀行口座から、引き出している場合、遺産の範囲に含めるのか否か、争いが生じます。この場合、遺産の範囲について、当事者で同意できないと調停手続では、証拠により、事実の真否の判断ができないので、調停を打ち切り、地方裁判所で遺産の範囲を確定する裁判を行うように家庭裁判所に促されます。

 

3 調停の終了

 

調停での話し合いの結果、お互いに歩み寄り、解決ができた場合、裁判所により、調停調書が作成されます。この調停調書は、判決と同じ効力を持ちます。この調停調書により、相手方の協力なしに、調停調書だけで、銀行口座の解約、名義の変更、相続登記等ができるようになります。

 

調停は、当事者の全員が合意しなければ、成立しません。お互いに歩み寄りができず、平行線のままの状態が続いた場合、調停は不成立に終わり、審判へと移行します。

 

4 審判移行

審判へ移行されると今度は、調停委員は参加しません。裁判官が参加し、調停でされた主張、提出された資料が補充されて、裁判所が具体的な、分割方法を決定します。審判でも審判書が作成され、調停調書同様に判決と同様な効力を持ち、他の相続人の協力なしに、相続手続を行うことが可能になります。